2019年 08月 29日
鷹(21)
その日から、鷹の心はとても安らかになりました。
これからも飛べる、何度でも飛べるかもしれないという希望が、彼の心を明るく照らしました。
静かな心で、鷹はその日の来るのを待ちました。
そして、あの日見た夢をくり返し思い出しては丁寧になぞりました。
すると彼の中で、それはますます鮮やかになっていくのでした。
鷹は何度も、自分が今、本当に飛んでいるような気持になりました。
夢を思い出しているのか、記憶の中の自分を思い出しているのか、それとも実際にとんでいるのか、彼は時折、区別がつかなくなりましたが、それはもう、どうでもよいことでした。
どれであっても、同じことになっていましたから。
そしてそれらがすっかり合わさってひとつになったとき、鷹の裡に全ての感覚がよみがえってきたのです!
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by nakamura-fumine
| 2019-08-29 10:27