2018年 12月 25日
泣き虫なねずみの赤ちゃん(5)
よく見ていると、その人間の女の子は、自分の大きな人形に名前を付けて大事にかわいがっているのがわかりました。
人形は女の子の一番仲の良いお友達のようでした。
むずかっているときも、誰かが人形を持ってくれば、たちまち機嫌がよくなりました。
雨で外へ行けなくて泣いたときも、ひとりで退屈でつまらないと泣いたときも、人形さえあれば女の子は泣き止みました。
夜、寝るときは、その子のおかあさんに連れられて、いつも人形を抱いて、いっしょにふとんに入るのでした。
そうして人形にふとんをかけると、ぽんぽんと軽くたたくのです。
するとその女の子のふとんを、おかあさんがやはりとんとんと軽くたたきながら、子供を眠らせるのでした。
それを見ているうちに、自分もいつか子供を産んだら、ああいうふうにふとんを軽くたたきながら眠らせたい、ということが若かったおかあさんねずみの静かな希みになりました。
そのことを思い出して、いま、赤ちゃんのふとんをそっとたたいてみるのですが、自分の赤ちゃんは少しも泣き止まないのです。
それでおかあさんねずみは考えを変えて、人形を作ってはどうかと思いついたのでした。
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by nakamura-fumine
| 2018-12-25 03:37